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ブレーキパッドが、どのようにしてつくられるか、ご存じですか? 代表的な製造方法を簡単にいうと、熱で固まる樹脂と、さまざまな素材をよく混ぜ合わせ、型に入れて焼き固めて完了です(パンを焼くみたいでしょう)。一見、シンプルに見えますが、その製造工程には、配合組成と攪拌(素材選びとその混ぜ合わせ)、形成技術など、高度なテクノロジーが含まれます。なかでも、パッドの特性を最も左右するノウハウが「配合組成」、ブレーキパッドの“レシピ”に相当します。ブレーキパッドは、非常に数多くの素材をブレンドしてつくられています。ブレーキパッドの特性、すなわちブレーキの効きは、この“レシピ”によって決まるといっても過言ではありません。
一方、ブレーキパッドは、ディスクと擦れ合うことで少しずつ摩耗していきますが、安全のためとはいえ、ブレーキパッドを小まめに交換しないと安心して車に乗れないとしたら、ちょっと不便です。そこで、ブレーキパッドには、耐久性・耐摩耗性も求められます。日本ブレーキのブレーキパッドは、自動車の場合、通常の使用なら、少なくとも最初の車検までの3年間を無交換で走れることを指標に設計していますが、これを実現するには、摩耗に強いことも条件になります。
ここで必要になるのは、滑りやすさ(潤滑性)です。ブレーキに滑りやすさが必要というのは、ちょっと不思議に映るかもしれませんが、単に硬くてザラザラしているだけでは、あっという間に磨り減ってしまい、実用になりません。ブレーキパッドには、自分と相手を必要以上にすり減らさないための、適度な滑りやすさも要求されます。摩擦の力が大きな素材(摩擦係数の高い素材)と、適度な滑りやすさを出すための潤滑性のある素材を組み合わせて「ザラザラ」と「ツルツル」のバランスを取るとともに、パッドそのものを補強するための繊維状素材や、振動を防ぐための防振素材も入れます。「ザラザラ」と「ツルツル」という相反する要素をどうバランスさせるか? そこに、私たち日本ブレーキのノウハウがあります。